所定労働時間外の研修について

所定労働時間外の研修について経営者の方が従業員の能力向上のため、会社が研修を主催することや福利厚生の一環で、研修の受講料を会社が負担し受講を奨励することは、素晴らしいことですが、労働法上、気をつけなければならないことがあります。

仕事に関わる研修受講が労働時間にあたり、賃金(時間外労働手当)支払い義務が生じるか否かという点です。

よく議論に上がるところですので、もう一度確認しておこうと思います。
◆ 行政解釈では

「使用者が実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制が無く自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」
【昭26.1.20 基収285号、平11.3.31 基発168号】

とされています。

◆ 加えて、

賃金支払いが発生する労働時間とは、最高裁判例において「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」「当該行為が使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたとき」
(三菱重工業長崎造船所事件 最高裁平12.3.9 労判778.14)

とされています。

要は、研修の受講が強制され受講しないと罰を受ける、断れない、という場合は労働時間なので賃金支払いが発生するということです。

いくら従業員のことを思って、と研修を主催したり費用を負担したつもりでも、やり方次第ではそれ以上の出費をしなければならないことを考慮していただけたらと思います。