2024年問題とは
働き方改革関連法案により、2024年4月から自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する各種の問題のことです。
運輸・郵便業においては過労死等のうち脳・心臓疾患の労災支給件数が全業種で最も多い業種であることから、時間外労働時間の上限規制をすることによってトラックドライバー等の労働環境を良くしようとする狙いがあります。しかし、配送の時間、量が減り結果的に物流が滞ってしまうことにもなってしまいます。
ドライバー不足な現状なので単純に減った時間を、ドライバーを増やすことで補うということもしづらいものがあるでしょう。
そして残業時間規制によって労働時間が減ったことで賃金も減ることになるので、さらにドライバー離れが起きるということにもなりかねません。
また、令和5年4月から残業時間が月60時間を超えた場合割増賃金率が25%から50%へ引き上げられることになったことから、企業にとっても人件費が増加し、利益の減少につながっています。
また、同年同月から「改善基準告示」が改正、適用となります。
これは運送業務を行う際の、1年、1か月の拘束時間や1日に与える休息期間、運転時間などの基準を定めたもので、遵守できない事業者は、罰則はありませんが行政処分の対象になります。
例えばトラック運転手であれば拘束時間を
1年 3300時間以内
1か月 284時間
1日 13時間以内
としたり、休憩を継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないことにしたりするものです。
こちらも、自動車運転業務における長時間・過重労働な環境を少しでも改善しようとする試みで、たとえ個人事業主であったとしても実質的に改善基準告示の遵守が求められます。
なお、バス運転者やタクシードライバーの場合また別の基準となっています。タクシードライバーにおいては長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されるため累進歩合給も廃止となります。
これらに合わせて多くの企業改革が必要となるものの、なにから手を付けていけばいいのかわからないことも多いと思います。そのようなときには「働き方改革推進助成金 労働時間適正管理推進コース」を利用してみてはいかがでしょうか。
(2023年度の交付申請期限は2023年11月30日までとなります。)
先日ご紹介したものとはまた別のコースとなり、こちらは
助成対象となる取り組みとして
① 労務管理担当者に対する研修
② 労働者に対する研修(※3)、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則・労使協定等の作成・変更
⑤ 人材確保に向けた取り組み
⑥ 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
⑦ 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
のいずれか一つ以上を実施したうえで
達成目標として
① 新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用すること。
② 新たに 賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則等に規定する保存することを就業規則等に規定すること。
③ 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。
を実施することでかかった経費の一部を受けることができるものです。
また、賃金の引き上げ3%以上を達成することで上限額に加算を受けることもできます。
2024年問題を機に、就業規則の改定や助成金のご利用に関してご相談の際には弊事務所にお問い合わせください。